今回あまりに時間が無かったため、携帯で書き、それをPCに送って、それをコピペで記事に貼り付けております。
ミスとか見直してないし、変な文章になってるかと思いますが、修正を後で加えますのでご了承下さい
「アスカ、綾波・・・」
そういったあいつの顔は、明らかに落胆の色が隠しきれていなかった。
あんなことをしたとなれば、当たり前なのかもしれないが、
たとえ夢だと思っていたにしても、私のことを見捨て、都合のいいように忘れようとしたあいつを、許せるはずがない。
だから、私は心に巣食う憎しみを、その視線にありったけのせて、あいつを睨んだ。
隣に突っ立っているあいつがどんな顔をしているのかは知らないが、
シンジの顔色が思わしくない事を考えると、レイもあまりい顔をしていないのかもしれない。
「・・・碇君。」
そう、レイがシンジに話しかける。
「・・・僕は、アレからどうなったの?」
私とレイの視線、そしてレイの言葉に耐えかねたのか、シンジはうつむきながら聞いてきた。
その様子に、又私の怒りがこみ上げてくる。
ホントはわかってるくせに。全部、自分のした業も理解している癖に・・・
それでもあいつはまだ自分を信じたいのか。
ホントに、本当に、馬鹿な奴。
「・・・わかっているんでしょう、あなたも。」
レイも同じようなことを考えていたのか、視線をシンジから動かさぬまま、ただそれだけを言い切る。
それでもまだ黙っているシンジ。どうやら、私の回答も待っているらしい。
そんな様子のシンジに、私は止めを刺すべく、自身の身に起こった事を馬鹿丁寧に、詳細に話してやる。
「碇君。あなたも見たんでしょう?
私ごと弐号機のエントリープラグを貫いた槍。
あちこちからたれ落ちるエヴァの血に、肉、そして、目。
ああ、もしかしたら、私の死体でも直接見た?だったら」
「・・・アスカ。」
言い出したらきりがないとでも思ったのか、レイがそう私に声をかけてくる。
いや、そうじゃない、こいつはシンジを庇ったんだ、きっと。
「はいはい、わかってますよ、黙ってりゃいいんでしょう?」
私は仕方ないな、とでも言わんばかりに肩を竦め、そっぽを向く。
「・・・ごめん。アスカ。綾波。」
ちり、と心の奥底が痛んだ。
「何?今更そんなこといって許してもらおうとか、そんな甘っちょろいこと考えてるんじゃないでしょうね?」
「・・・」
私の問いに、シンジは沈黙を持って答える。
私は話を続ける。
「アンタは救えた、いや、救えはしなかったかもしれないけど、せめて助けることは出来たであろう私を見捨てて、
私の悲鳴を聞いて、初号機の前で震えてただけ。
初号機自体が動かなかったら、あんたは一生乗らなかったでしょう?
それならまだしも、アンタは見捨てたはずの私を見て、使徒だったファーストを見て、絶望して、叫んで。
抗おうともせずに、人類を全部滅ぼした。」
私の言葉は、次々にシンジの心へと突き刺さる。
既にずたずたで、折れかけているその精神へと、私は次々に追い討ちをかける。
「・・・わかる?あんたに、私の苦しみが。
この目を槍に貫かれ、四肢を地面に縫い付けられて。
生きたまま、全身の内臓をえぐられる痛みが、あんたにわかる?
既に死んでいるのに、感覚だけは生きて、全身を蹂躙されて、生きたまま解体された私の痛みが、アンタに、欠片も分かる?
・・・ふざけるんじゃないわよ!!
ただのうのうと生きてきただけの奴に、私の何がわかるっての!?
そんな上っ面だけの言葉で慰められても、謝られても、少しも嬉しくないわ!!」
言い切って、私は肩を上下させる。
一気に、溜まっていたものが出きった。
アイツへの不満。不平。怒り。憎しみ。
あいつはただ、当然のこととして謝っただけなのだろう。
でも、あんな思いをした私からしたら、五体満足で生き残っているあいつの言葉を、はいそうですかと返せるはずも無い。
どうせあいつは後悔するだけで、前に進み、自分を省みる気は無いのだから。
「・・・碇君。あなたは、被害者とも言える立場にいたわ。
あなたの存在を利用し、サードインパクトを起こそうとしていた人がいる。
だから、あなたがサードインパクトを起こしてしまった事を気に病む必要は無いわ。
・・・でも、あなたがセカンドと、私を、拒絶したことは、あなたの意思。」
「っ」
「・・・私はアナタを助ける為に、碇司令を裏切り、望んでいない力を手に入れ、あなたを救おうとした。
それを、拒絶されてしまったら、私はどうすればいいの?
私もセカンドも、あなたの気持ちはわかる。そして、私はあなたを救わなければいけないのだから、
ここで許さなければいけない、と言うことはわかってる。
・・・でも、私は、あなたを許す、許容することは・・・出来ない。」
レイは、沈痛な面持ちで、今だ俯いたままのシンジから視線を動かすことなく、真っ直ぐに見つめている。
確かに、知り合いが死ぬことの辛さは、わかる。
特に、その場面を、その死体を目にしてしまったら、尚のこと。
私でも、シンジのように叫んでしまうかもしれない。
でも、それは、全て自分が傍観者だったら、の話だ。
あいつは、私を見捨てた。見捨てたらどんなことになるか、わかっていたのに、だ。
それならば、あの惨劇は、容易に想像がつこうというもの。
何故、自分が招いた結果なのに驚く必要があるか。
あいつは求めるだけで、何も見返りを持とうとはしない。
この世で、無償で手に入るものなどないのに。
物ならお金、挨拶なら自己満足を。それぞれ、得るものと失うものがあるのだ。
あいつはそれを理解していないから、求めるだけで、自分はその代償を用意しない。
あいつと一緒にいても、加持さんのように気分が踊るわけでもない。
ヒカリのように、楽しい時が過ごせるわけでもない。
私は、あいつからなにを貰った?なにを感じた?
何も貰っていないわけじゃない。しかし、いい感情を得ていたわけでもない。
私は、あいつから『憎しみ』という、『怒り』という感情しか得ていない。
こいつは、何一つ、私にいい事はしていない。
それに、・・・
「私は殺したいほどにアンタのこと恨んでるのに、殴ることはおろか、触ることも出来ない。
目の前に殺したい程憎んでる奴が居るのに、何も出来ない私は、どうすればいいの?
のうのうと生きるアンタをじっと見つめていれば良いわけ?」
「・・・え?」
ならば殺せばいいじゃないか、そう言おうとでもしていたのか、驚きに目を見開き黙っている。
またこいつはなにをしらばっくれるのか、と考えるが、そういえば私たちのことはまだ話していなかった。
ちっ、と舌打ちをしつつ、自分達の体の変化について話す。
「今、私とレイの体は、存在しているようで、存在していない。
あやふやになってるの。」
「・・・よく、わからないよ。」
シンジの問いはもっともだ。実際になっている私とレイでさえよくわからないのだから。
そんなシンジの問いに、レイが答える。
「・・・有体な言葉で言うと、幽霊と同じ存在。」
「・・・幽霊?」
冗談だろう、という表情でこちらを見つめてくるシンジ。
しかし、これは冗談でもなんでもない。純然たる事実だ。
「・・・見てなさい。」
と、私は寄りかかっていた壁を押すように掌を広げ、触れる。
普通は慣性の法則で自分の腕にも同じ分の力が帰ってくるはずだ。
しかし、私の掌はその圧力を感じることは無く、そのまま自分の意志で向けた方へと進んでいく。
その進行方向にある壁を、この世にある限り全てのものに影響する筈の物理法則を無視して。
「っ!?」
「これやったらいい加減わかるでしょ?私たちがどんな体になってるのか、ね。」
見ているほうも気持ち悪いだろうが、自分でやってるほうが余計気味が悪いのだ。
元々幽霊と言う存在は信じていなかっただけに、こんな体(といってもいいのだろうか?)にしたシンジは、とても許せるものではない。
「私たちが話しかけても反応しないし、多分、あんた以外に私たちが見えたり聞こえる奴はいない。」
いくら大声で叫ぼうと喚こうと、触ろうと殴ろうとしようが向こうは振り返りもしないし、気が付きもしない。
幸いシンジからは離れることは出来るし、守護霊みたいな存在ではないらしいことは救いだ。
こんな、一緒にいたらこっちまでおかしくなりそうな奴とこいつが死ぬまで一緒だなんて、ご免蒙る。
「ねぇ、アンタはどうやって償ってくれるの?
さっきみたいに、今まで見たいにただ謝って、挙句逆上してこっちを責めるのかしら?
なんでわかってくれないの、なんでそんなに責めるの?」
おそらく言うだろう言葉を、私はからかうように、いや、嘲る様にお芝居の主役宜しく手を広げくるくると回る。
ああ、鬱陶しい。
「もしかしたら、私たちのこと無視する?
私たちのこと放っておいて、一人のうのうと生きるのかしら?」
呪詛を呟き、鎖のようにひきずる私を無視して、生き続けるシンジを想像して。虫唾が走る。
ああ、忌々しい。
「どう、どっちもあんたがやりそうなことでしょ?
まあ、どっちを選ぼうともあんたは生きてこの世を徘徊する度に苦しみ続けるのだろうけど。」
「・・・・・・」
シンジは沈痛な、こっちが苛立つような表情を浮かべ、うつむき。
レイはただ黙って成り行きを静観している。
そんな様子のシンジにああ、もう一つ、といって付け加える。
「それとも、・・・死んでくれる?」
親指で首に線を引き、シンジの首が跳ねる様を想像する。
そんな想像の中の、血飛沫でさえただ不愉快なだけ。
ああ、早く死ねばいいのに。
そうすれば、こいつも苦しむことなく、私の気も晴れるだろうに。
レイのことは知らないけど、私は少なくとも、そう考える。
ベッドの上でうちひしがれるシンジに、二つの視線が注ぐ。
シンジがどんな言葉を口にするのか、少し楽しみに、私は待っていた。
「・・・ごめん。」
やっぱり、これだ、
「僕は、こんな事をして、許されるとは思ってないよ。
それでも、ごめん。」
こいつは、これしか能がないのか。
そう、思っていたように、シンジは口にする。
ごめん、と。
そして、こいつが選んだ選択肢は、何なのか。
「・・・罪は償わないといけない。
それは、重々承知だよ。当然の事で、法でも決まってるし、人間の倫理的にも、当たり前だ。
でも、今の僕は、謝る以外の手段を持ってない。
君からしたら、僕がしねば良いだけの話なのかもしれない。
でも現実、僕を殺すことは出来ないし、不可能だ。
なら、僕は死ぬことはできない。」
「・・・なんで?あんたが死ねば済むだけの話よ?
私の代わりに、その手で首を引き裂けばいいだけの話。
簡単じゃない。ものの十秒で終わる。」
「・・・だから、出来ないんだよ。君が、僕を殺さないといけないんだから。」
「何?どうしても、自殺はできないって?」
「違うよ。自分を殺すことぐらい、・・・できるさ。」
シンジは顔を歪めながらも、そういいきった。
その顔を見るに、確かに死ぬこと自体に躊躇は無いみたいだ。
なら、なんで、死んでくれないのか。
こんなにも、死んでほしいと言っているのに。
「・・・僕が自殺しても、アスカと、レイを苦しめた分には届かない。
・・・君が殺さないと、死ぬ意味は無いよ。」
・・・なにを言ってるのかこいつは。
私を地獄のような目に合わせて、こいつは何を。
こんな奇麗事をいっていたって、どうせ上辺だけ、本音は死にたくないだけの癖に。
いい加減限界で、ふざけるな、と再び叫ぼうとした、その時だった。
けたたましい音を立てて鳴り出したサイレンに耳をやり、第一種警戒態勢という言葉を聞いたのは。
「何で今、警戒態勢なんて・・・」
いくらシンジより先に気が付いていたとはいえ、たまに、この部屋に看護婦が来ることを確認しているのみで、
後はレイと話していただけなので、自分達がどんな状況に居るのかはわかっていなかった。
それに、あんな印象的なことの後だったせいか、サードインパクトが起きた後の世界だと思っていたせいもある。
そんな私は、その次に繰り返された言葉を聞いて、一瞬耳を疑った。
『第四使徒接近中。各員至急所定の位置へつけ。繰り返す。第四使徒接近中・・・・・・』
第四使徒。
それは、目の前で驚いている、シンジが倒したはずの。
私が日本に来る前の使徒。
まさか、とレイと視線を交わし、あわてて確認のため外に出ようとしたその前、
開いた病室の扉の前には、・・・制服を着、隣のレイと全く同じ格好をした、『綾波レイ』が、そこに居た。
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