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サイト「一日千秋」のブログです。雑記やweb拍手返信など。
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3時間で完成。
ミサトたちのような関係の、アスカ達。という設定ですな。

ちょっと更新。
文章の追加を行いました。



9/5   誤字修正
9/18  文章の追加



華やかに飾り付けられた会場に、白いテーブルクロスを敷かれたテーブルの上に乗るさまざまな料理。
その席に着き料理を楽しんでいる人は、その会場の中心にいる二人の男女を祝福している。
その男女は白いドレスとタキシードに身を包み、周りの賛辞をうけ、幸せそうに笑っている。
ここは、ありふれた結婚式の会場。

そんなテーブルの一角、薄い青のワンピースに身を包んだ上品そうな女性と、
赤みがかった金髪の、赤いドレスに身を包んだ女性が料理もそこそこに、その光景を見ながら話していた。
「アケミも、随分幸せそうに笑ってるわねぇ・・・」
「・・・5年間付き合った末の結婚だもの。
 あんな表情も出るわよ。」
うらやましい、と羨望のまなざしでウエディングドレスを着る新婦をみながら言うアスカに、
レイは手元の料理を片付けながら、結婚の経緯を話す。
「そうなんだけど・・・
 あんな人に出会えるのって、いいなぁ、って思うわ。」
「・・・そうね。
 結婚できるような縁というのは、一生に一度くらいなのかしら。
 アスカは、既にその出会いを果たしきっているのかしら?」
レイは薄く笑みを浮かべながら、フォークでサラダを口に運ぶ。
「よく食べるわねぇ。
 食べても太らない体質ってうらやましいわ・・・ってレイ、それどういうことよ?」
「碇君。子供の頃はお互いに意識しあっていたじゃない。
 私も好きだったけど、あなたがいちいち妨害したから、諦めたんじゃない。」
「ふん。あんな仕事ばかりでつまらない男なんて。
 一緒に居ても面白くともなんともないわよ。
 いいわねぇレイは。いい人みつかってて。」
アスカやレイも今では26。
そろそろ結婚出来るのかどうか不安になってくる頃だ。
もう結婚を間近に控えているレイに比べ、アスカはそんな人が出来る気配も出来たこともない。
原因は自分でもわかっているのだが。
「・・・いいでしょう?
 彼は碇君と同じで不器用な人だけど、明るくて優しい人なの。
 私と彼は占いでも結婚するだろう、っていわれたんだから。」
レイはその彼氏の話題が出た途端、饒舌になり嬉しそうに自慢する。
「はいはい、よかったわね。
 私はどうせ無骨で乱暴なやつですよー」
アスカはむくれながら近くにあったワインを一気飲みする。
レイはそんなアスカの様子を見て、くすりと笑い、自分もワインを飲んだ。

「そういえば、シンジの奴は何をしてるのかしら。
 又アイツは仕事してるのかしら。」
あきれた様子でシンジのことを言うアスカ。
いくら頼まれたことは断りきれないとはいえ、あいつはあまりにもいっぺんに仕事を抱えすぎなのだ。
そして段々と昇進していき、一尉という私とレイと同じ地位にまで上り詰めている。
その結果、仕事量は又増え、家に帰ることもままならない状態になってしまっている。
「・・・碇君は仕事を切り詰めても来るはずよ。
 こういうことには必ず顔を出す人だから。」
律儀というかなんというか。
約束は必ず実行する人がシンジ、そしてそれが信頼されている要因でもあるわけだが。
「そうだけど、もう30分も過ぎちゃってるじゃない。
 あいつ、何やってんだか。」
っとアスカが愚痴を言った途端、後ろから優しげな男の声が聞こえる。
「ごめんごめん。
 急に部長から頼まれ事しちゃってさ、来るのが遅れたよ。」
すまなさそうに謝りながらこちらにやって来る黒いスーツを着た男が、碇シンジ。
アスカとレイの中学校から同期であり、同僚でもある男である。
「「遅い。」」
アスカとレイのユニゾンした声にシンジは苦笑しつつアスカの隣の席につく。
「謝るのは新郎新婦のほうによ。
 先にこっちに来てどうするのよ。」
「大丈夫。こっちに来る前に挨拶は済ませてきたよ。
 楓さんもえらく綺麗になってたね。
 それに、幸せそうに笑ってたよ。」
シンジは挨拶してきたときを思い出しているのか、懐かしそうにしている。
「アケミも驚いてたんじゃない?
 アンタとは中学校以来あってないはずだし・・・」
「だね。
 僕もまさか会えるとは思ってなかったしね。」
元々結婚式に呼ばれていたのはアスカとレイだけ。
しかし、同級生であり、初恋の人でもあるシンジも呼ぼうとしていたらしいのだが、
ドイツ支部に配属となっているシンジの引越し先などわかるはずもなく、呼ぶに呼べなかったらしい。
そんなアケミの話を聞いたアスカとレイが、丁度ドイツのチルドレンと一緒日本に来ていたシンジを電話で呼び寄せた、というわけである。
「私達の粋な計らいに感謝しなさい。」
「うん、ありがと、二人とも。」
シンジは笑みを二人に見せ、二人は久しぶりに見た笑みにどこか安心したような笑みをこぼした。

いくらシンジが随分前にネルフ本部に配属になったとはいえ、引継ぎなど忙しく話す暇もなかったため、
その後も久しぶりにあった三人は随分と話は盛り上がった。
結婚式が終わったあとも、アスカが飲み足りないと二人をいつもレイと行くバーに誘い、そこでも三人は思い出話に花が咲いた。


「へぇ、綾波結婚するのか。」
シンジがブランデーを飲みながら、その話に驚く。
「そうよ。相手は、・・・ええと、なんていったっけ?」
「・・・渚カヲル。一緒に居て楽しい人よ。」
アスカとレイは同じピンク色のカクテルを飲みながら、シンジに答える。
「会ってみたけど、結構美形だったわ。
 少なくとも、アンタとは天地の差ね。」
シンジの顔をじっと見ながら、その回想する顔と比較して感想を漏らす。
シンジは苦笑しながら少し赤くなっているアスカの頬をぺち、と軽く叩く。
「当たり前だろ。
 僕と比べるのがどうかしてるよ。」
アスカはべち、とシンジの頬を叩き返し、ちょっとお手洗いに、といって席を立つ。

「・・・碇君も、そう捨てたものじゃないと思うわ。」
アスカが席をたった後、レイはカクテルを一口口に含み、窓から景色のいい、様々な色でライトアップされた第三新東京市を眺める。
「・・・そうかな。僕みたいな人なんて世の中にいくらでも居ると思うよ。」
ありがと、といいながら、シンジは最後の一口を飲み干し、近くにいたバーテンダーにボトルのワインを頼む。
「・・・よく飲むのね。」
「仕事柄、こうした付き合いが多いからね。
 飲めないと友人たちともいい関係築けないし。」
昔の印象とは少し違うシンジに感心するように言うレイに、
いくらお酒がダメでも飲めるようになるよ、とシンジは新しく頼んだ赤ワインを受け取りながら言う。
フランス産の五年物。
店の暗めの照明にあたり、どことなく妖艶な光を伴いながら、ワイングラスへと注いでいく。
まず軽く一口だけ口に含み、味を見る。
白ワインと違って少し渋みがあるものの、その渋みが気に入っていた。
ふ、と笑みを浮かべる。
「うん、美味しいね。綾波も一口いるかい?」
「・・・じゃあ、いただこうかしら。」
レイは空のワイングラスを持ち、シンジに注いでもらう。
ありがとうと呟き、レイはふと、その水面が揺れるワインを、じっと見つめる。
「・・・赤いワインね。」
何か思うところでもあったのか、レイはそう言葉を零し、少し傾ける。
「・・・美味しい。」
「・・・そりゃあ、赤ワインだもの。」
レイの先に言った言葉の意味は深くは問わず、あたり触りのない答えを返す。
お互いにふっと笑うが、そこから何故か急に会話がなくなり、場に沈黙が下りる。

 

「・・・アスカ。あんなに飲んだの久しぶりに見たわ。
 あなたと会えたのが、よっぽど嬉しかったのかしら。」
「・・・それは、僕達も同じだよ。
 かれこれ一時間、飲みっぱなしだ。
 やっぱり、君たちがいない生活というのは、退屈で仕方がないよ。」
唐突にレイが紡いだ言葉に、シンジは心底思っていた言葉を漏らす。
「そりゃ、毎日充実はしているさ。
 仕事は余るほどあるし、周りからも必要とされてるしね。
 でも、どこか物足りないって言うか、色がない。
 君たちが居てこそ、僕は生きてるんだ、ってのを感じるよ。」
シンジは嬉しそうに、言葉を漏らす。
その言葉にレイは同意する。
「・・・確かにね。
 今でこそ結婚、なんていうけど、彼と出会うまでは毎日が退屈だった。
 アナタとアスカ。三人で過ごしていた時間が一番楽しかったわ。」
レイは当時を懐かしむように笑みをこぼす。
「それはよかった。
 これから僕は本部におかれることになったから、これからは楽しい時間ばかりだろうね。」
それに、君の結婚相手にも会ってみないと、そういってシンジは笑う。
その様子にレイも又笑い、
「じゃあ、これからもよろしく、碇さん。」
「こちらこそ。よろしくお願いしますよ、綾波さん。」
二人はおどけるように言い、ワイングラスをチン、と当てた。


その後アスカが戻ってきて、昔の話や仕事の愚痴など話に花を咲かせていたが、
明日は早速向こうから来たチルドレンのシンクロテストがあり、レイが明日も早いということで、そのまま解散という流れになった。
レイはこのバーの近くに家があるのでそのまま直帰。
シンジは酔って足取りが覚束ないアスカをそのままには出来ない、と送っていくことになった。

 

「はぁ、久しぶりに、ハメはずしたわ。。
 気分は晴れてるけど、気持ちは悪い・・・」
外套の白い無機質な光が、アスカとシンジを照らす。
二人の酔って火照っている身には、丁度涼しい夜風が吹く。
「ああ、久しぶりに僕も飲んだよ。
 少し、ふらふらしてる。」
時折倒れそうになるアスカを支えながら、シンジは言う。
「アンタも随分とお酒、強くなったものね・・・
 前に飲んだときは、あんたが一番先にダウンしてたのに。」
「高校のときだろ?
 そのときはまだ子供だったけど、今はもう大人。
 たしなみ程度には飲めるようになっているさ。」
「平気で私以上に飲むくせに。
 あ~あ、昔のすぐ顔を赤くする初々しいシンジはどこに行っちゃったのかしら?」
じとっと睨んでくるアスカに、僕は笑うしかない。
「あれから10年以上たつんだ。
 いい加減、あんな弱虫でも、少しは成長するさ。」
「悪い方向への成長ね。
 酒癖が悪くなって、あんたの奥さんになった人の苦労顔が目に浮かぶようだわッ!?」
そう、肩を竦めながら言ったアスカが、唐突に前のめりになる。
「大丈夫、アスカ?」
僕が傍にいて倒れる前に支えたから、幸い傷は出来ていないようだ。
「、ありがと、シンジ。
 ったく、こんなときにヒールが折れるなんて・・・」
ふとアスカの足元を見ると、そのハイヒールのかかとの部分が見事に折れていた。
「そのままでいったら?
 ハイヒールなんて歩きづらくてしょうがないだろ?」
「馬鹿、そんなのこれ履いてきた意味ないじゃないの。
 それに、ちょっと足首やっちゃったみたいで・・・」
笑って僕を馬鹿呼ばわりするアスカだが、足元を押さえている。
一旦公園のベンチに座らせ、足の具合を見ると、どうやら捻挫らしい。
そこまで重傷ではないものの、しばらく歩けそうにはない。
「どうする?少し休んでから行くかい?」
「いいわよ、別に。肩貸してくれたら問題無いわ。」
といって行こうとするが、どうにも痛くて歩けないらしい。
アスカは行こうとし、僕は止める。
このままじゃ埒が明かない、と思った時、ふと、昔の光景が浮かんだ。
僕はアスカの前で背中を見せてしゃがみ、ならこれでどう、と言った。

 


「あの時と逆だ。
 あの時は僕が背負われて、君が僕を助けてくれた。」
「ああ、あの時。
 そんなこともあったわね・・・」
背中から返事を返すアスカ。
先ほど話していた高校の頃。
酔って歩けなくなったシンジを、アスカが肩に手を回して支えながら部屋に運んだのだ。
「ほんと。あの時とは比べ物にならないぐらい、逞しくなっちゃったわね。
 私と喧嘩したらすぐに負けてたのに。」
「言ったろ?もう僕も大人だよ。子供を守る側。
 人は常に成長しているのさ。」
その言い方に、二人とも笑い出す。
そうやってくだらないことばかりはなしていたら、もうアスカのマンションについてしまう。

「部屋まで送らなくていいの?」
「大丈夫。こんだけ夜風にあたっときゃ大丈夫よ。
 それに、あんたがおぶってくれたおかげで大分楽になったし・・・」
ほら大丈夫、とひらひらと手を振り、軽く前へステップを踏む。
「ならいいけど・・・」
シンジの言葉は安堵に包まれていたが、なんとなくさびしく思えて、二人とも黙りこくってしまう。
お互い、口にはださないが、さびしいのだろう。
「・・・又会える、わよね。」
「当たり前だろ?又明日にでも、ネルフで会うさ。」
アスカの疑問に、当然だろう、と答えるシンジ。
でも、シンジはアスカの疑問の裏に、ちゃんと気が付いていた。
いつまでたってもうつむき、黙りっぱなしのアスカにシンジは近づいて、そっと抱き、
キスをした。
「シンジ・・・」
抱く腕の中でシンジを見上げるアスカ。
「大丈夫。もう、離れないって。」
彼女の気持ちをわかっていながらも、日本残留ではなくドイツに渡ってしまったシンジ。
その間に感じていたことも、今ではよく理解している。
もう6年間近くも会っていないが、二人の気持ちは、あの頃とまったく変わっていなかった。
「・・・もう、離さないよ、アスカ。
 好きだ。」
その言葉に、アスカは静かに涙をこぼす。
すすり泣き、シンジのシャツをぬらしていく。
シンジは、そのまま静かに抱いていた。

「・・・家に、来ない?」
次にアスカがこぼした言葉に、僕は苦笑しながらもシンジはいいよ、と同意する。
二人の間には、6年間の空白にも打ち勝つ、確かな愛情が、存在していた。

使徒戦役が終わり1年後、結婚式を挙げる二人の姿が、第三新東京市で目撃された。

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