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というわけでLAS小説第一段。
多少季節外れなのは許して~
・・・つくづくダメな奴ですね、私ってorz

 

 

 



時は前回から3日後の月曜日。
あのお姫様だっこからなにかスイッチが二人に入ったのか、
土日中暇さえあればずっとふたりでよりそって、いちゃいちゃしていた。
子供が幸せなのはいいことだが、それに当てられる親からしたらたまったものではない。
しかし、この二人の親は親でようやく結婚する気になったのか、子供を作るのか?
とか、わけのわからんことばかりをずっと4人で語り合い、そんな二人の姿を肴に土日中のみ明かしていた。
なお、この両親とも学生結婚であり、二人の気持ちわかる~だの、二人を増長させるようなことばかりを言って、
なんとも親としてまずい状態にあった。正にこの二人にこの親あり、である。

とりあえず今日は月曜日、休みが終わるのは惜しいが、というかいちゃいちゃ出来ないのが惜しいが、
始まってしまうものはしょうがない。
じゃあ何故、学校で発表して無いのか、というと、ただ単に恥ずかしいからである(この場合、両親は度外視)。
まあ、アスカがずっと争ってきたライバルの無駄な抵抗をせせら笑うため、というくらーい理由も存在するのだが。

 

学校についてみると、いつも走り回っているはずの生徒はおらず、しーんと静まり返っているグラウンド。
?と首をかしげながら下駄箱に向かっていると、その手前にある掲示板に人垣が出来ていた。
ああ、これが原因か、と納得しながらも、これほど人を集めるニュースってどんなのだろう?
そう思って近づいてみるが、集まってる人が多すぎてどうにも張ってあるニュースは読めない。
どうしたものか、と周りを見渡していると、人だかりの外にヒカリを発見する。
これ幸い、とアスカはヒカリに聞いてみる。

「おっはよー、ヒカリ。」
「あ、おはようアスカ。」
と言ってヒカリはこっちを向くが、アスカを見たとたんぽっと頬を火照らす。
「あ、アスカって結構大胆なのね・・・」
そういってヒカリはうつむいて黙ってしまった。
「ひ、ヒカリ?何があったのよ?」
すっと掲示板の方をさすと、そのまま教室の方へ走っていってしまった。
「・・・・・・あれが、諸悪の根源ね」
絶対いなにかある、しかも私関連で。
そう確信したアスカは
「ちょっとそこどきなさい!」
と人垣をよけさせつつ近づいてみると、ようやく掲示板が見える。
「あ、アスカ!おめでとう。」
「よかったじゃない。」
近くに来ると、そう友達が言ってきた。
「ああ、ありが、と・・・・・・・」
掲示板に張ってあるものを読んで、アスカは絶句してしまった。
そこには一枚の写真と、少々の文章が付いている新聞が張ってあった。

「な、なによこれーーーーーーーーー!!!」

その写真には、あのときの、自分がお姫様だっこされている自分が映っていた。

それからは阿鼻叫喚の図。
アスカガ登校してきていることに気が付いた周りがはやしたて、大変な騒ぎになっていた。
シンジはその場に来て瞬間に気づかれ、分けもわからず巻き込まれていたが。
中学時代から続いていたシンジをめぐる争いに、ついに決着が付いたのである。
ただ騒いでいるのも居るが、その仲を知っているものは二人を祝福していた。
たたいたり蹴ったり、シンジには手荒い祝福だったが。
恥ずかしいやらうれしいやら。そんな騒ぎの中、アスカは見逃さなかった。
新聞の端に、『K,AIDA』と、書かれていたのを。

 

 

「やあ、アスカ。おめでとうね。」
そんな中、手を上げながらやってきたのはレイ。
その顔は満面の笑みで、アスカはどこか怪しい、と疑う。
「あ、レイじゃない。ありがとう。
 でも、何でわざわざ?あんたとはライバル同士だったじゃない。なにか裏でもある?」
「まさか~。確かに疑われてもしかたがないけど、これは心からの祝福よ。
 ま、途中から付き合ってるって気が付いてたしね。」
心外だ、といわんばかりに頬を膨らませ、抗議をしながらもどうだ、と無駄に胸を張るレイ。
「へ?そうなの?妨害も何もしてこないから、てっきりアタシはまだ知らないものだと・・・」
再び心外だ、といわんばかりの顔をするレイ。
「そこまで恋に盲目にはなってなかったわよ。
 大概の人はもう知ってたわよ?」
「へ、うそ?」
「うそじゃないわよ。だって急に学校でシンジに絡まなくなったし、
 あたし達がシンジ君に迫っていっても何も反応示さないし。
 挙句の果てに目で会話してるのよ?そこまでされたら誰だってわかるわよ。」
驚愕の表情をしているアスカに追い討ちをかけるレイだが、
「まあ、例外は居るけどね」
といってレイが視線を向けた先には
「何でいつのまに碇君とアスカがあんなことになってんのようらやましいうらやましいうらやましい……」
と延々呪詛を呟いているマナの姿が。
「じゅ、呪詛・・・・」
「ね?あれに比べたらまだましでしょうよ」
「ま、まあね・・・」
そんなマナの姿に全力でひきつつ、レイならまだしも、シンジと付き合ったのがマナじゃなくてよかった、
と心の底から思ったアスカであった。
と、そこで近隣のひとから苦情がきた学校側の先生が止めに来て、この騒動はとりあえずは収まった。

 

 

 


「さあ、シンジ、帰るわよ!」
「わかってるからちょっとまってよ、アスカ。
 まだ荷物入れて無いって」
「それだからアンタはとろいなんて言われるのよ、ってあ・・・」
「ん?どうかした・・・・」
その視線の先には、水浸しになっているグラウンド。
大雨が降っているのだった。<br><br>
「この雨脚からすると、通り雨だろうけど・・・どうする?このまま突っ切る?」
「傘あるよ?」
といってバッグから取り出したのは青と赤の2本の傘。
ご丁寧にも色違いのおそろいのものである。
「準備がいいわね?いつも持ってるのそれ」
「いいや、朝のニュースで通り雨来るかもって言ってたから、一応ね」
「アンタ、絶対いい奥さんになるわ。
 あんたと結婚したやつはカホウモノね。」
「・・・僕は男だよ。」
不満げに言いながらも、アスカに傘を手渡すシンジと対照的に満足げに受け取るアスカ。
そんな二人の姿はとても幸せそうで、どこから見てもお似合いのカップルだった。

「ん。じゃ、行きましょうか。」
アスカは傘を刺すと、いたずら気な笑みを浮かべながら言った。


グラウンドのぬかるんだ地面を歩いていると、急にアスカが立ち止まった。
「あ、」
「ん、どうかしたの?」
するとアスカはつつつっと傍によってくると、傘を閉じ、すっとシンジの傘に入り込んだ。
「ど、どうしたの?」
「・・・もう皆知ってるんでしょ?なら隠す必要もなくなったじゃない。
 だから、いいでしょ?我慢しなくても」
少し恥ずかしいのか、ぎゅっと腕を抱いて表情を隠すアスカ。
「ん、そうだね。じゃ、行こうか。」
そんなアスカの様子に苦笑しつつも、そんな姿が可愛い、なんて本人にいったら照れでどうにかなりそうなことを思うシンジだった。

 

 

 

 

 

 


「あ、シンジ、あれ見て」
帰る途中、通った公園には、咲きかけの桜が咲いていた。
大粒の雨に打たれ、桜の花びら、蕾が水をまとい踊っていた。
そのいくつかは既に地面に落ち、砂場に出来た水溜りに浮いていた。
「まだ咲けてないのに散っちゃうね・・・」
「すぐに止むとは思うけど、雨脚は強いからね・・・
 全部散らないといいけど。」
雨はますます強くなり、傘を打つ音もだんだんと大きくなってくる。
公園に置きっぱなしにされたスコップが静かに雨をはじいている。
「まだ花見もしてないのにねぇ・・・・」
なんとなく会話が無くなり、その場にただ雨の音だけが響いた。

「ねえ、シンジ?」
「・・・どうした?」
いつになく弱気な声に、シンジは静かに返した
「来年もこの桜、二人で見てられるかなぁ?」

「桜って、出会いの季節の象徴とかいうけど、同時に別れの季節でもあるわけじゃない? 
 もしかしたら、私のこと嫌いになって、レイとか、マナとかと付き合うことになるかもしれないじゃない?
 やっぱりさ、人の気持ちって変わるって言うし、私より綺麗な人だって何万と居るはずだしさ、
 そうやって他の人を好きになって、別れるってなるかもしれないでしょ?」
ぎゅっと抱きつく腕に力を込めてきて、
「私、嫌だよ?そんなの・・・
 今の気持ちがずっと続くとは限らないし。
 ・・・付き合ってるのはうれしいけど、あそこまで想ってくれるのもうれしいけど、
 あんたと過ごすのも幸せ。
 でも、そうなるなら、そんな辛い想いするなら、私達、付き合わない方がよかったのかな・・・」
「・・・・・・」
シンジはその腕を振り解き、正面から抱きしめる。
「心配しすぎだよ、アスカは」
静かに、包み込むように、優しく。
「僕はアスカが好きなんだから
 外見とかじゃなくて、周りから人気があるからとか、そんな理由で付き合ってるんじゃないよ。
 今のアスカが、いつも笑ってて、明るくて、でもいつか壊れてしまうんじゃない勝手ぐらい繊細で。
 たとえ変わったとしても、僕は君が好きなんだ。」
「・・・・」
「もしさ、嫌いになったとしても、もう一回好きになればいいんだから。
 もし他の人を好きになっても、この桜を見て、アスカを思い出して、もう一回、好きになればいいんだから。」
子供に言い聞かせるように、優しく言う。
「まあ、そんなことは無いと思うけどね」
笑顔で言うとアスカを正面に向かせ、
「だから、元気だしてよ。」
「・・・・バカ」
顔を隠すように思い切り胸板に顔を押し付ける。

「・・・今年はダメだろうから、又来年、桜見に来ましょうね」
「心配しなくてもいいよ。来年も、再来年も、これからずっと、二人で一緒にこよう。」
「・・・うん。」
二人はそのまま、雨が止んだことに気が付かないほどに、雨に連れられて地面に散っていく、桜を眺めていた。

 

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