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サイト「一日千秋」のブログです。雑記やweb拍手返信など。
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はい、第2弾ですよ。
今回は梅雨ということで、このSS思いつきました・・・
あえて題をつけるとすれば、だるい二人。
やる気もLASもありませんとも。
二人で話してるだけです。はい。

SSは続きから。








外では雨が降りしきり、屋根や窓に当たりテレビの音を掻き消そうかというほどの音をたてている。
そんな中、二人の男女が部屋でそれぞれ気ままにくつろいでいた。
女性、いや、少女のほうはベッドの上でごろごろしながら本を読みつつ、
少年の方は外の雨の音をバックミュージックに、本を読んでいた。
何の変哲も無い、憂鬱な雨の日を二人で過ごしているだけ。
少女のほうは特に異議を申し立てるわけでもなし、ファッション雑誌を読みながら暇をつぶしている。
しかし、どうにも少年には疑問がひとつ有るらしかった。

「ねぇ、アスカ?」
「ん、な~に?」
少年の呼ぶ声に真の抜けた声を返す少女ことアスカ。
「あのさ、ひとついいかな?」
「早くいいなさい、私も忙しいんだから。
 あ、これ可愛い・・・」
そういいながら又ページをめくり、今度買おうかな、と自分の財布と相談し始める。
そんな様子にため息をつきながら、少年ことシンジは言った。
「・・・なんで、僕の部屋に居るの?」

別にこの二人は付き合っているわけではない。
親の縁による、幼稚園以前からの幼馴染である。
そのまま同じ小学校、中学校と上がってきて、現在に至る。
男と女であれば段々付き合う友達の違いにより疎遠になったりするのが普通だが、
疎遠になるどころか益々仲がよく傍にいるようになっている。
その影響か、二人の居るグループは男女の人数が均等のグループで、しかもそのうち一組が最近付き合い初めたらしい。
そんなグループに居るせいか、その仲が良すぎる二人だからなのか、クラスや学校では付き合っていると噂されている、
というか、本当に付き合っていると認識されている二人である。
が、本人達に自覚はなく、なんとなく気がついたらそばにいた、という関係だと言う。
周りは恥ずかしがってごまかしているだけだ、と言うが、果たしてどこまで本当なのやら。

「・・・・・さあ?
 幼馴染だからいんじゃない?」
アスカは暢気に答える。
「だって、ママやパパも仕事で出かけちゃったし、暇だったのよ。
 ヒカリやレイは出かけるっていうし、そうなったらここしかないじゃない。」
ほら、鍵もあるんだし、とシンジの家の鍵を上げてみせる。
「そりゃそうなんだろうけど、もう少し、男の部屋に入るのに躊躇いを持ったりしない?
 一応、僕も男なんだけど。」
別にとがめている気は無いが、会話として自然にでてくる言葉。
「そりゃそうでしょう。確かにアンタは女顔だけど、一応、あくまで一応、男じゃない?」
「・・・・・なんか引っかかるけど、じゃあ、なんでそんなノックも無しに入って来るんだよ。
 今日だって着替えてる途中だってのに・・・」
「んなこた知らないわよ。シンジが着替えてなきゃいいんでしょう。
 それに、12年もたというかという関係に、今更恥じも外聞もないでしょうに。」
「・・・そりゃそうだけどさ・・・・」
にべも無い返事にシンジは黙るしかない。
若干不満もあるがまあ確かに、今更アスカがどうというわけではないし、逆にシンジがどうかなるわけでもないし。
「はぁ、暇ねぇ~・・・」
その言葉で部屋はシンとなり、再び雨の振る音が部屋満たす。

「・・・・ねぇ、シンジ?」
「ん、どうかした?」
「私って、そんなに綺麗な方なの?」
シンジはアスカの言葉に、う~ん、と悩み、
「多分、そうだと思うけど。」
「そこは即答で綺麗だよ、ぐらい言いなさいよ。
 しかも多分てなによ、多分て・・・」
「だって、いつも見てるからわからないよ。
 でも、テレビとかでてるモデルさんとかと比べても謙遜ないし、かなり綺麗な方だと思うよ。」
「ふ~ん、そうか・・・」
アスカはその言葉にページをめくる手を止め考える。
すると急にアスカはよし、と呟くと、立ち上がりシンジの方へ向かう。
「どうかしたの?」
アスカはシンジの座っている椅子の前で膝をつき、胸元のボタンを開ける、
「・・・・?」
「じゃあ、こんな私はどう・・・?」
と、胸の前で手を組んで、上目遣いにシンジを見上げる。
その表情は今にも泣きそうな感じで、おもわず守ってあげたい、とほとんどの男性に思わせるぐらいに可憐だった。
しかし、その表情を目の前にしているシンジは、けろっとした様子で、
「・・・可愛いと思うよ。」
と、一言。
「・・・・もう少し無いの、ほら、何かのドラマみたいに、君を一生守るよ、みたいなセリフ。」
シンジの言葉にむっとしながら、そのままのポーズで言う。
「だって、10年以上も前からそんなアスカの表情見てるし、流石にもう僕のボキャブラリーも尽きてきたよ。
 それに、今更恥じも外聞もない、っていったのアスカじゃないか。」
「・・・・・・・それもそうね。」
しばらく空中を見上げ考えていたが、いわれてみれば確かに、と納得し、
胸のボタンを閉め何事もなかったかのようにベッドに戻り、今度は別のファッション雑誌を読み始める。

「・・・・・・・」
「まだ不満でもあるの、アスカ?」
さっきからずっと黙っているアスカに、シンジは聞く。
別々の行動を取っているとはいえ、流石にここまで会話が無いのもおかしい。
「・・・ねぇ、シンジ。私達、付き合って見ましょうか。」
「へ?」
アスカの突拍子もない言葉にシンジはきょとんとする。
「付き合うって、いつもこうやって暇なときつきあってるじゃないか。」
「いや、そういう意味じゃなくて、ただの男と女として、って意味よ。」
「・・・ほんとにどうしたの、今日は。」
「いや、付き合い始めたら何か変わるかなぁ、と思って。
 確かにアンタの言うとおりだとはいえ、このままの関係なのもなんかなぁ、と。」
「ふ~ん・・・・」
軽く言ったアスカの言葉に対して、緊張した様子もなく考え込むシンジ。
普通は人生も左右することにもなりかねるこの告白という行為。
しかし、この二人は大して気に病む様子もなく、いつもの会話と同じようにかわす。
そしてシンジが出した結論は。
「いいよ、別に。
 思ってみたら、アスカほど中のいい女子もいないし、僕から見て綺麗女の子なんて知らないし。」
と、本を読みながら言うシンジ。
「んじゃあ、よろしく、彼氏。」
それにベッドで寝転がりながら答えたアスカ。
「よろしく、彼女。」
というわけで、急に付き合いはじめることになった二人。
「・・・」
「・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
何故かシンとなる部屋。
「・・・何か変わった?」
「ううん、別に。」
首をふりながら否定するシンジに、う~ん、と唸るアスカ。
「何が違うのかしら。
 やっぱり、それっぽい告白してないからかしら?」
「じゃあ、一応やってみる?」
「・・・そうね。」
ああ面倒だ、と二人とも立ち上がる。
そう思うのならやらなければいいのに。

「・・・ちょっとまって、この場合、僕から告白するべき?」
「私からするからいいわよ。
 ・・・いくわよ。」
「・・・・・・・・」

「・・・あ、ちょっとまって。」
なんとなく緊張していただけにがくっとなるシンジ。
「どうしたんだよ、折角最後まで考えてたのに・・・」
「その構成に関する問題よ。
 女からの告白でよくあるのって、後輩が先輩に告白するじゃない。
 この場合、そういうシチュエーションでするべき?」
「・・・・・普通に幼馴染でいいんじゃない?
 ほら、実は好きでした、みたいな」
「・・・それもそうね。」
ようやく納得したようで、構えを取るアスカ。
「じゃ、今度こそ行くわよ。」

 

※学校の帰り道、という設定だそうです
「ねぇ、シンジ。話が有るんだけど・・・」
「何、アスカ?」」
「私ね、あのね・・・」
「どうしたの、いつものアスカらしくないよ。」
笑みを浮かべながら言うシンジに思わず頬が紅くなるアスカ。
「・・・私、シンジの事が好きっ」
「え?」
「ずっと前から、シンジのことが好きだったの!!
 そりゃ、変に強がったりしたこともあるし、嫌な事ばっかしたし、疑われてもしょうがないと思うけど・・・
 私、シンジのことがっ」
アスカが言い終える前に、シンジはアスカを抱きしめる。
「知ってるよ、全部。」
「へ?」
「アスカが僕のこと好きだってことも、今までのことが照れ隠しだってことも、なんとなく気が付いてたよ。」
「・・・じゃあ、何で言ってくれなかったのよ。
 凄く、迷惑だったでしょ?」
「そんなこと無いよ。」
否定しながら、もう一度強く抱きしめる。
「僕も、アスカのこと好きだから。」
「え」
アスカがうずめていた顔を見上げる。
「多分、君にあったときから、ずっと好きだったんだと思うよ。
 でも、君は大きくなるたびに、どんどん美しく、綺麗になっていった。
 頭もいいし、先生からも一目置かれてる存在だったし。
 とても、僕とつりあう存在だとは思えなかったんだよ。」
「そんなこと無い!!だって、シンジは・・・」
「不安だったんだよ。僕が君に迷惑かけるんじゃないかって。
 もっと気の会う人が現れるんじゃないかって・・・」
「シンジ・・・・」
シンジは一瞬くらい顔をするが、すぐに笑顔になると、
「でも、もうそんな心配いらない。
 だって、君が好きだって、言ってくれたんだから。
 僕なんかが言ってもさまになってないかもしれないけど・・・
 アスカ、君のことを僕は、愛してる。」
「シンジ・・・・!」
アスカはシンジの胸元で涙を流し、シンジは抱きしめたままで、しばらくの間、二人は動かなかった。

 

「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「ねえ、彼氏。」
「どうしたの、彼女。」
気に入ったのか、この言い方にこだわるシンジにアスカ。
「何か、変わった?」
「・・・告白の仕方がかわっただけで、全然。」
だめだこりゃ、と二人して言い、先ほどまでのことはなかったかのように、二人は定位置に戻る。
「結局、私達は何しても変わんないってことねぇ・・・・」
くるくるとベッドの上で回転しながら本を読みつつ、アスカはため息をつく。
「まあ、そうだね・・・・
 あ、そういえば、今の告白って、まだ有効?」
「このままでいいんじゃない?
 周りだってアタシ達のこと付き合ってるって言うしさ、
 大体私と一緒にいる男っていったら、身内除いたらアンタしか浮かばないし。他のやつといたくもないし。
 よって、現状維持でよろしく、彼氏。」
「はいはい、わかりましたよ、
 これからもよろしく、彼女さん。」
シンジはもうどうでもいいや、という風に両手を挙げながら言った。

「あ、そうだ。
 もうお昼だし何か作ろうと思うんだけど、何がいい?」
「そうね、パスタがいい~」
「パスタか・・・麺あったかなぁ・・・」
「なかったら私の家から持ってくるわよ。確かあったはずだけど・・・
 ああ、勿論ミートソースでよろしく。」
「わかってるよ、アスカ。」


雨が降りしきる、梅雨の6月のとある一日でした。

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コメント
こんばんは
改めてこんばんはです。茶会ではお世話になってます。リンクをされたとのことだったので、伺ってみました。日常の中にある、何気ない1コマのようで、とても柔らかい小説ですね(^^)
とても、好きな雰囲気です。
また、ちょこちょこと伺わせていただきますので、よろしくお願いします!
では、また茶会で^^
ペン
【2008/06/20 01:49】 NAME[pen] WEBLINK[] EDIT[]
Re:こんばんは
返信送れてすいません^^;;;
こんばんわです^^
こちらこそお世話になっております・・・

SSはそういっていただけて幸いです^^
そう居ていただける人が増えるよう、せめて読んでいただける人が増えるよう頑張っていきますので、これからもよろしくお願いします^^

では、又茶会でお会いしましょう^^
【2008/06/23 22:45】


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